前回と同じくSheet Musicより、「時計仕掛けのクリープ」

日本語タイトルはキューブリックの映画「時計仕掛けのオレンジ」を意識したものと思います。クリープとカタカナで言ってますが、忍び寄る恐怖とでも言えばいいのかな? オレンジを意識してカタカナになっちゃったのでしょう。

10ccとしては普通にタイトルをつけただけではないかな。要するに時限爆弾のこと。

以前に取り上げたI’m Mandy Fly Meの冒頭で今回の曲が引用されています。

I’m Mandyでは、飛行機の中でイヤホンでClockwork Creepを聴いてるという想定なのですが、この曲はジャンボジェットに仕掛けられた時限爆弾が爆発するまでの事を歌った歌なので、かなりブラックジョークの想定となっています。

前回と同様、無駄な音をそぎ落とした構成ではあるのですが、ピアノとエレピは重ねています。とっても特徴的なのは、ドラムを時限装置である時計に見立て、チクタク感を出すのに左右に大きく振り分けていること。

やっぱ、この人たち、相当な凝り性なんです。

というわけで今回は、ドラム音源を2つ左右に配置し、チクタクのリズムでバスドラとサイドスティックを振り分けます。おぉー、これだけで今にも爆発しそう。鬼気迫るものがありますね。加えてピアノのオクターブ音もそれっぽい。

短い曲ながら、色んなメロディが出てきます。エスカルゴの下りで、トレモロを効かせたギター(ひょっとしてこれもギズモ?)が、迫る恐怖をよそに能天気。

ピアノのコードは乱高下し、なぜかその後ビーチボーイズ風に。このあたりはおちゃらけたっぷりのファーストアルバムの雰囲気が残っています。I’m Mandyに引用されているのはこの辺りです。

終盤、ハイハットがチキチーチキチーと激しく鳴り、運命の時が迫っていることを感じさせます。ディミニッシュコードで不安感をかきたてますが、何故かその後メジャーセブンスで安らかな感じになります。

10ccって、おちゃらけた歌でも、どこかしら心に響くメロディが入っています。こういう所はすごいですね。

飛行機は空港に無事着陸。平穏を表現する口笛も左右に振っています。
しかしそれとは無関係に時限爆弾はチクタクチクタクと鳴り続け・・・

たぶん乗客が下りる寸前で爆発しちゃったんだろうなぁ。
でもそんな無粋な所は描いていません。